世界中ほぼ全ての国に「事業目的の滞在許可」は何かしらあります。
が、国によって名前も要件もバラバラで、改定も多い。
なのでこの記事では制度として“起業・自営”ルートが明確に整備されていて、長期滞在→永住→(条件を満たせば)帰化まで現実的に狙える国を、国別にそのまま使える形でまとめます。
目次
起業ビザは大きく2系統
- スタートアップ系(審査・推薦・エンドース必須)
「イノベーション」「成長性」「第三者の推薦(政府認定機関など)」がカギ。 - 自営・事業オーナー系(事業計画+資金+実績で勝負)
「その国でやる意味」「雇用や経済効果」「生活できる収益」がカギ。
この2つのどちらで攻めるかで、必要書類も難易度も、永住までのスピードも変わります。
まず結論:永住に“直結しやすい”代表格
カナダ:Start-up Visa=最初から永住権ルート
- 制度名:Start-up Visa Program(SUV)
- 要件の核:政府指定の支援機関(VC/エンジェル/インキュベータ)からのサポート獲得+言語要件(CLB5)+生活資金など
- 滞在の形:SUVは永住権申請ルートとして設計(起業で“永住に直行”しやすいのが強み)
国別リスト:起業→長期ビザ→永住→市民権(帰化)の現実ルート
🇬🇧イギリス(スタートアップ系の王道)
- 制度名:Innovator Founder visa
- 要件の核:認定機関のエンドース(承認)、ビジネスが革新性・実現性・拡張性を満たすこと
- 期間:ビザは最長3年
- 永住(ILR)への道:条件を満たせば3年で永住申請が可能(いわゆる“早い”部類)
- 市民権:永住後、さらに居住条件を満たして帰化(ここは個別要件で設計)
🇮🇪アイルランド(EU圏の起業拠点として強い)
- 制度名:Start-up Entrepreneur Programme(STEP)
- 要件の核:革新的でグローバルに成長できる事業+一定の資金要件(一般に“High Potential Start-Up”寄り)
- 期間:許可は最初2年が基本
- 延長・永住:事業継続・要件維持で更新して長期化、そこから永住・帰化条件へ(制度設計上「起業で伸ばす」前提)
※STEPは“普通の小商い”より「伸びる事業」を狙う制度、という理解がズレません。
🇫🇷フランス(「タレントパスポート」で家族も動かしやすい)
- 制度名:Talent Passport(新規事業/起業系カテゴリ)
- 要件の核:事業計画・資金・経済的妥当性など(カテゴリにより細分化)
- 期間:居住許可は最長4年で更新可
- 永住:更新で長期居住を作り、永住・帰化条件へ(フランスは「まず4年の土台」を作れるのが強み)
🇩🇪ドイツ(自営で“永住が早い”代表)
- 制度名:Self-employment / freelancing(自営滞在許可)
- 要件の核:事業の経済性、資金、需要、生活維持など(州・都市で実務がブレやすい)
- 期間:滞在許可は最長3年
- 永住:事業が成功し生計が安定していれば、3年後に永住(定住許可)を狙える
🇳🇱オランダ(スタートアップ→自営に“昇格”する作り)
- 制度名:Start-up residence permit
- 要件の核:認定ファシリテーター(メンター機関)との契約+革新性+1年の実行計画
- 期間:最長1年
- 次の一手:1年後に自営業の滞在許可へ切替して長期化するのが王道
- 永住・市民権:この“自営ルート”で居住年数を積み上げて到達
🇪🇸スペイン(「起業ビザ1年」→「起業居住許可3年」が強い)
- 制度名:Entrepreneur visa / residence(起業家向け)
- 要件の核:革新性・経済的インパクト・雇用など(審査機関の評価が入る)
- 期間:入国用のビザは原則1年
- 長期化:国内での居住許可は3年で更新可
- 永住・帰化:更新で年数を積み上げて到達(制度として“伸ばせる”設計)
🇵🇹ポルトガル(いわゆるD2:事業型の定番)
- 制度名:D2(Entrepreneur / Independent Professional)として扱われるルート
- 要件の核:事業計画、収入・資金証明、住居、現地での事業実態づくり
- 期間イメージ:まずは滞在ビザ→居住許可へという2段構えが一般的(申請実務はチェックリスト型で進む)
- 永住・帰化:居住年数を積み上げて永住・帰化へ(この国は“積み上げ型”の代表)
🇮🇹イタリア(公式に“Startup Visa”が用意されている)
- 制度名:Italia Startup Visa(自営スタートアップ枠)
- 要件の核:イノベ系スタートアップとしての要件+資金要件(最低5万ユーロ相当のリソースが目安として示されるケース)
- 期間:ガイドライン上、入国ビザは1年の枠で運用される説明がある
- 更新・長期化:入国後は滞在許可で更新して年数を伸ばし、永住要件へ積み上げるタイプ
🇦🇹オーストリア(スタートアップ創業者向けの専用枠)
- 制度名:Red-White-Red Card(Start-up Founders)
- 要件の核:ポイント制+資金(スポンサー/投資など)+革新性
- 期間:最初は最大24か月
- 次の一手:2年後に条件を満たせばRed-White-Red Card Plusへ
- 永住・帰化:Plusで雇用/自営の自由度が上がり、そこから居住年数を積み上げる
🇧🇪ベルギー(Professional Card=自営の鍵)
- 制度名:Professional card(非EUの自営許可)
- 要件の核:事業の有用性・実現性など(州・都市の判断要素もある)
- 期間:初回は通常2年、最長5年まで
- 永住・帰化:更新しながら居住年数を作り、永住要件へ
🇩🇰デンマーク(スタートアップ枠+永住は“長期戦”)
- 制度名:Start-up Denmark
- 要件の核:専門パネルの審査(ビジネスプラン承認)+資金+本人の役割
- 期間:最初は最大2年、その後最大3年の延長が可能
- 永住:一般に永住は8年が目安の国(長期戦前提)
🇸🇪スウェーデン(自営許可が取りやすいが、実務は“本気の事業”が前提)
- 制度名:Self-employed residence permit
- 要件の核:事業経験、収益性、資金、現地での実態
- 期間:許可は最長2年
- 永住:自営で滞在し、条件を満たすと永住申請に進める設計(詳細要件あり)
🇫🇮フィンランド(スタートアップ=2年土台が作れる)
- 制度名:Start-up entrepreneur residence permit
- 要件の核:Business Finland等の評価/適格性+事業計画+資金
- 期間:最初の許可は2年
- 永住・帰化:更新して居住年数を積み上げる(北欧は「生活基盤の安定」が超重要)
🇪🇪エストニア(スタートアップ国家の代表格)
- 制度名:Startup Visa / Startup TRP(枠組み)
- 要件の核:スタートアップとしての認定(審査)+資金+事業実態
- 期間:滞在許可は最長5年の枠として案内される
- 永住・帰化:更新して居住年数を積み上げるタイプ(実務は審査通過が最初の関門)
アジア:起業で“現実的に伸ばせる”国
🇸🇬シンガポール(王道のEntrePass)
- 制度名:EntrePass
- 要件の核:革新性・投資家/支援機関・知財・実績などのいずれかで評価(ただの飲食店開業みたいなのは通りづらい)
- 期間:初回は1年、更新は2年が基本
- 永住・帰化:更新で年数を積み上げ、PR申請(審査は厳しめ)
🇭🇰香港(「投資としての起業」ルート)
- 制度名:Investment as Entrepreneurs(起業家としての投資)
- 要件の核:事業計画、資本、雇用、事業の現実性(審査は“会社の中身”を見られる)
- 期間:許可は2年→3年→3年の更新パターンが代表
- 永住:7年の通常居住で永住権が視野に入る(香港はここが明確)
🇹🇼台湾(起業家ビザが分かりやすい)
- 制度名:Entrepreneur Visa
- 要件の核:資金調達・売上・受賞・インキュベーション等、複数の評価基準
- 期間:最初は最長1年、要件を満たして延長
- 永住・帰化:延長で年数を積み上げる(要件達成型)
🇰🇷韓国(D-8-4=テック系起業)
- 制度名:Start-up Visa(D-8-4)
- 要件の核:スタートアップ要件(評価/推薦/ポイント等)
- 永住の目安:資料上、一定期間(例:3年)の滞在や事業要件を満たして永住申請に進む設計が示される
※韓国は制度が複線で、投資家D-8系と起業家D-8系が分かれます。情報を混ぜないのがコツ。
🇹🇭タイ(SMART Visa:スタートアップや人材枠で長めに取れる)
- 制度名:SMART Visa(Startupなどカテゴリ複数)
- 要件の核:カテゴリ別(スタートアップ参画・投資・専門人材など)
- 期間:SMART Visaは最長4年の有効期間が案内されている
- 永住・帰化:更新・居住年数で積み上げ(タイは“滞在の安定”は作りやすいが永住は別ゲーム)
🇲🇾マレーシア(テック起業ならMTEPが強い)
- 制度名:Malaysia Tech Entrepreneur Programme(MTEP)
- 要件の核:テック系事業(新規/実績ありでカテゴリ分岐)+スポンサー/支援機関絡み
- 期間:新規枠は1年、実績枠は最大5年(更新可)
- 永住・帰化:基本は更新で居住年数を積み上げていく発想(長期滞在の“器”として優秀)
🇦🇪UAE(ドバイ/アブダビ:起業家ゴールデンビザ)
- 制度名:Golden Residence(Entrepreneurなど)
- 要件の核:認定インキュベータ/事業評価/資金要件など、カテゴリ別
- 期間:ゴールデンレジデンスは長期(代表例:10年)で案内されるケースがある
- 永住・市民権:UAEは「永住権・市民権」が他国と性格が違うので、“長期居住権で安定拠点を作る”発想が現実的
オセアニア:事業で永住まで作れる国
🇳🇿ニュージーランド(起業→永住の道がはっきりある)
- 制度名:Entrepreneur Work Visa → Entrepreneur Resident Visa
- 要件の核:投資資金(例:最低10万NZD)、ポイント、事業計画、英語等
- 期間:起業ワークビザは合計最大3年(ステージ構成)
- 永住:条件を満たせばEntrepreneur Resident Visa(無期限滞在)へ
🇦🇺オーストラリア(従来の起業投資枠が閉鎖→“イノベ人材PR”へ寄った)
- ポイント:Business Innovation and Investment(188)は2024/7/31で新規受付が終了
- 現行の代表PR枠:National Innovation Visa(subclass 858)=永住ビザ(対象領域に起業・イノベーションも含む)
- 実務イメージ:「事業を作って移住」より「実績ある起業家・イノベ人材として永住で呼ばれる」色が強い国にシフト中
アフリカ:事業投資型(本気で会社を作る前提)
🇿🇦南アフリカ(ビジネスビザ:投資額と雇用が重い)
- 制度名:Business Permit / Business Visa(実務上の呼び方あり)
- 要件の核:一定の投資額+現地雇用など(免除や例外はケース次第)
- 永住・帰化:運用は“ちゃんと会社を回す”前提。ハードだが、刺さる人には刺さる。
まとめ
- 最短で永住を取りに行くなら:カナダSUV、ドイツ自営(3年で永住が見える)
- ヨーロッパで家族ごと動かしやすい:フランス(最長4年許可)、スペイン(3年居住許可)
- アジアで“長期滞在の器”を作りやすい:シンガポール(EntrePass)、マレーシア(MTEP)、タイ(SMART)
- 起業家として“国に招かれる”方向に寄せるなら:オーストラリアNIV
