政府とは別の“少数の秘密グループ”が世界を支配している?
「ディープステート」「支配層」「グローバルエリート」
こういった言葉は、今やネットの陰謀論界隈だけでなく、SNSでも日常的に見かけるようになりました。
その中でも特に有名なのが、次のようなストーリーです。
表に出ている政府や議会は“表の顔”に過ぎない。
その裏側には、金融・メディア・軍産複合体・司法などを握る“ごく少数の秘密のグループ(ディープステート)”が存在し、世界の出来事を裏でコントロールしている。
この考え方は、各国の世論調査でも「少なくない人が信じている」ことが分かっており、今や世界で最も広く共有されているタイプの陰謀論の1つとも言われます。
本記事では、この「政府とは別の秘密の支配層が世界を動かしている」という陰謀論について
- どんな主張なのか
- 歴史的な背景
- どこまでが“現実に近い話”で、どこからが“陰謀論”なのか
- こうした情報とどう付き合うべきか
を、できるだけ感情論抜きで整理していきます。
ディープステート(Deep State)陰謀論の典型的な主張
まず、このタイプの陰謀論が“何を言っているのか”をざっくり整理します。
1. 「表の政府」と「裏の支配層」が分離している
- 選挙で選ばれる政治家や表の政府は、実は“操り人形”に過ぎない
- 実際に重要な決定をしているのは、選挙では変わらない“恒常的な支配層”だ
- その支配層は、官僚機構・情報機関・軍産複合体・巨大金融資本・国際機関などにまたがっている
というイメージが語られます。
2. 戦争・金融危機・パンデミックなどは「仕組まれている」
- 大きな戦争
- 金融危機や通貨危機
- パンデミックや大規模な混乱
などの出来事は「偶然ではなく、支配層が利益を得るために仕組んでいるのだ」という解釈です。
3. メディアとプラットフォームは“洗脳装置”
- 大手マスメディア
- ハイテク企業・プラットフォーム
- ハリウッド・エンタメ
などは、支配層に都合の悪い情報を隠し、都合のいいストーリーを宣伝する“プロパガンダ装置”だとされます。
4. 国家を超えた「少数のグループ」が世界を動かしている
- イルミナティ
- フリーメイソン
- ロスチャイルドやロックフェラーといった財閥
- グローバルエリート、ビルダーバーグ会議、WEFなど
名前は状況によって入れ替わりますが、「国ではなく“人のネットワーク”が世界の真の権力だ」というストーリーが共通しています。
ルーツはどこにある?歴史的な背景
このタイプの陰謀論は、急にゼロから生まれたわけではありません。いくつかの歴史的要素が重なって形成されています。
秘密結社・財閥・帝国主義への不信
- 19世紀〜20世紀にかけてのフリーメイソン、イルミナティ伝説
- 植民地支配や帝国主義の時代に、少数の列強が世界を分割していった経験
- 金融資本・巨大財閥が政治に強い影響力を持った歴史
こうした出来事は実際に存在しており、「少数の人間が世界を動かしているのではないか」という感覚を生み出してきました。
冷戦と諜報機関、クーデター
- CIAをはじめとする諜報機関が、各国の政権交代やクーデターに関与してきたことが、後から報道・公文書で明らかになるケース
- これにより「表のニュースの裏に、常に見えない操作があるのでは?」という疑念が強まった
グローバル化と格差拡大
- 世界的なグローバル化で、株主・多国籍企業・金融市場の力が増大
- 一方で、一般市民の生活は苦しくなっていくという感覚
- 「誰かがどこかで得をし、私たちは搾り取られているのでは?」という不信感
こうした現実の問題と、“秘密結社や闇の支配層”という物語が絡み合うことで、現在のディープステート陰謀論が形作られています。
なぜ世界中で信じる人が多いのか?
では、なぜこの陰謀論が世界中で広く支持されているのでしょうか。いくつか心理的・社会的な理由があります。
1. 「複雑な世界」をシンプルに説明してくれる
現代の世界情勢は、とてつもなく複雑です。
- 戦争
- テロ
- 金融危機
- パンデミック
- 気候変動
- 物価高・賃金停滞
これらが互いに絡み合っていて、本当の原因を理解するのは専門家でさえ難しいレベルです。
そこで「全部、裏で少数の支配層が動かしている」というストーリーは、非常に分かりやすく、感情的な満足感を与えてくれます。
2. 「悪役」がいると安心する
- 苦しい現実の原因が「よく分からない構造」にあると言われるより
- 「悪い奴ら」が裏で操っていると言われた方が、納得しやすい
という人間の心理もあります。
「誰もコントロールできない複雑な世界」よりも
「悪い支配層がいて、そいつらさえ倒せばいい世界」の方が、物語としてはスッキリしているからです。
3. 公的機関やメディアへの不信
- 戦争・スキャンダル・不祥事などで、政府やメディアへの信頼が落ちている
- 後から「実はあの時、情報が伏せられていました」と判明することも多い
こうした経験の積み重ねが、「公式説明は信じられない」という前提を生み、陰謀論が入り込む余地を広げます。
4. SNSとアルゴリズムの影響
YouTubeやX、TikTokなどのアルゴリズムは、
- 強い感情を引き出す
- ビックリする内容
- 怒り・恐怖・“真実暴露”系タイトル
と相性が良く、どうしても陰謀論コンテンツが拡散されやすい構造になりがちです。
どこまでが“事実”で、どこからが“陰謀論”なのか?
ここが一番重要なポイントです。
実在する「既得権益」や「ロビイング」
- 巨大企業が政治献金やロビー活動を通じて政策に影響を与える
- 金融・エネルギー・軍需産業など、一部の業界が強い政治力を持つ
- 官僚機構や長期政権による既得権益構造
これは陰謀論というより、「現実の政治・経済の問題」です。
行き過ぎた“単一グループ万能説”は、ほぼファンタジー
一方で、
- 世界中の出来事を「すべて」一つの秘密グループが統一的にコントロールしている
- すべての国の政府・メディア・科学者が“完全にグル”になっている
というレベルになると、現実的な証拠はほとんどなく、内部矛盾も多くなります。
- 国ごとの利害対立
- 政治家同士の権力争い
- 企業同士の競争
- 予想外の事件・事故
現実には「誰もコントロールできていないカオス」も大量に存在しており、
それを全て“シナリオ通り”とみなすのは、逆に世界を単純化しすぎてしまう危険もあります。
陰謀論とどう付き合うか:情報リテラシーのポイント
「陰謀論=全部バカげた話だから無視しろ」とも、「全部真実だから目覚めよ」とも言いません。
大事なのは、次のような視点を持つことです。
1. 事実と解釈を分けて考える
- 実際に起きた出来事・数字・公的文書などの「事実」
- それに対して、誰かが行っている「解釈」
この2つを意識的に分けて見ると、議論がかなりクリアになります。
2. 情報源を複数見る(賛否両方)
- 気に入ったインフルエンサーや動画だけを信じるのではなく
- 反対意見・主流メディア・公的資料も一応チェックしてみる
その上で、「自分はこう考える」という結論を持つ方が、長期的には強いです。
3. 自分の感情トリガーを自覚する
- 怒り
- 不安
- 恐怖
- 正義感
こうした感情が強く動いたときほど、人は冷静な判断をしづらくなります。
「今、自分はどの感情を利用されているかもしれない?」と一歩引いて見てみるのも大事です。
日本人にとっての“ディープステート論”の意味
日本に住む私たちにとって、この種の陰謀論とどう付き合うべきか。
- 「全部DSのせいだ」と諦めて、何も行動しなくなる
- 「真実に気付いた自分」と「何も知らない人たち」の分断だけが進む
この状態だと、支配層がいるかいないかに関わらず、結局「自分たちの未来を自分たちで選ぶ力」は弱くなってしまいます。
一方で、
- 政府やメディアの説明が本当に妥当か、疑問を持つ
- 憲法や法律の条文を自分で読んでみる
- 税金・財政・海外情勢をできる範囲で調べてみる
- それを踏まえて選挙・海外移住・資産防衛などの“自分の選択”を考える
こういった方向に好奇心を活かすのであれば、「陰謀論への興味」も十分にプラスのエネルギーに変換できます。
まとめ:陰謀論は“使い方”次第で、毒にも薬にもなる
- 「政府とは別の少数の秘密のグループが世界を支配している」というディープステート陰謀論は、世界的に見ても最も広く信じられているタイプの陰謀論の1つです。
- そこには、実在する既得権益・ロビイング・情報操作の問題と、「単一のグループがすべてを支配している」というファンタジーが、複雑に混ざり合っています。
- 大事なのは、
- 事実と解釈を分ける
- 情報源を複数あたる
- 感情トリガーを自覚する
という情報リテラシーの姿勢です。
そして何より、
「世界がどうなっているか」を考えるだけで終わらせず、
「自分はどう生きるか」「どこで、どんなリスクを取るか」
まで落とし込むこと。
ディープステート論に興味を持ったことをきっかけに、
- 憲法
- 日本の財政・税制
- 世界情勢
- 海外移住・資産防衛
といった“現実の選択肢”を一緒に考えていくことこそが、
これからの不透明な時代を生き抜くための、本当の意味での「覚醒」なのかもしれません。

