最初に大事な前提だけ。
節税は「法律の範囲内で、税負担をムダなく最適化すること」。
脱税(隠す・偽る・名義だけ借りる等)とは別物です。
最近は金融口座情報の自動共有(CRS)などで“海外に置けばバレない”は現実的に成立しません。
1)富裕層の節税は「順番」が9割
多くの人がいきなり“法人”“オフショア”“海外口座”から入って失敗します。
富裕層の順番はこう👇
- 自分の税務上の立ち位置を確定(居住者/非居住者)
- 所得の種類を整える(給与・事業・配当・家賃…)
- 控除と経費を取り切る(国内でできる基本)
- それでも重いなら「構造」で解決(法人・国外・資産の持ち方)
- 最後に“書類と申告”を固めて、将来の否認リスクを潰す
節税はテクじゃなく設計図。順番を守ると、ムダ打ちが激減します。
2)最重要ポイント:あなたは日本の「居住者」なのか?
ここが曖昧だと、どんな海外スキームも一瞬で崩れます。
日本の所得税法では、
- 居住者=日本に「住所(生活の本拠)」がある、または1年以上「居所」がある人
- 非居住者=それ以外
という整理です。判断は「客観的事実」でやります。
よくある誤解👇
- 「住民票を抜いたから非居住者」→それだけでは確定しない
- 「海外に183日以上いるから非居住者」→滞在日数“だけ”では判断しない場合がある
ここが固まると、節税の地図が一気に見えます。
3)海外を絡めた節税の現実:3つの“監視装置”を理解する
海外を使うなら、この3つを避けて通れません。
①CRS(口座情報の自動交換)
各国の税務当局が、非居住者の金融口座情報を金融機関から集めて、他国と自動で交換する仕組みです。
つまり「海外口座=秘密の金庫」じゃない。
②国外送金等の把握(調書)
国際送金などは制度として把握対象になっていて、金融機関側に調書提出の仕組みがあります。
③国外財産調書・財産債務調書
一定以上の国外資産を持つ人は、年末時点の国外財産をまとめて提出する制度があります。
- 国外財産調書:年末の国外財産合計が5,000万円超(一定の「非永住者」を除く)で提出義務
- 財産債務調書:条件を満たすと提出義務(例:所得2,000万円超+資産3億円以上等)
富裕層ほど「出すべきものを出して、説明できる状態」を最初から作ります。
4)オフショア法人は“魔法”じゃない。使いどころはここ
オフショア法人は、正しく使うと強い。でも「税率が低い国に作れば勝ち」ではありません。
使いどころ①事業の防衛(取引・決済・契約の安定)
- 海外クライアントとの契約、請求、外貨決済が多い
- 国をまたぐ取引で、契約の土台を分けたい
こういう人は、法人化自体が“節税”より先にリスク管理になります。
使いどころ②資産保有の器(分離と整理)
- 投資用不動産、持株、知財などを「個人」と切り離して整理したい
- 共同事業や家族の資産をルール化したい
ここも“税金”より「事故防止」の意味が大きいです。
使いどころ③居住国が変わる人の運用(拠点が流動的)
住む国が変わる人は、個人の口座・契約だけだと引っ越しのたびに詰みます。
法人という“器”があると、生活と金融の移動がスムーズになることがあります。
5)ただし超重要:日本側のCFC(タックスヘイブン対策税制)
ここを知らずにオフショア法人を作ると、「節税のつもりが、結局日本で課税」になりがち。
外国子会社合算税制(CFC)は、低税率国などにある外国関係会社の所得を、一定の場合に日本側で合算して課税する考え方です。対象の判定には居住者も含まれる前提が示されています。
要するに、「会社を海外に置いたから利益が非課税」にはならない設計。
さらにNTA側でも制度の解説・資料が出ています。
✅結論:日本の居住者のまま“ペーパーカンパニー節税”は基本的に危険。
やるなら「実態」「役務」「管理」「契約」「収益の根拠」を固めた上で、専門家と設計が必須。
6)海外移住前後の落とし穴:国外転出時課税(いわゆる出国税)
「よし海外移住だ!」のタイミングで、株や持分などの含み益に課税が出る可能性があります。
国外転出時課税は、一定の居住者が1億円以上の対象資産を持って国外転出する場合などに、含み益に課税する制度です。
海外へ動く人ほど、ここは“先に知っておく”だけで損失が防げます。
7)節税術を「実務の型」に落とす(富裕層テンプレ)
ここからは、記事としてそのまま使える“総まとめの型”。
A.まずは国内で取り切る(基礎だけで差が出る)
- 控除(保険、扶養、医療費など)を漏らさない
- 経費を「証拠付き」で積み上げる(カード明細+領収書+業務メモ)
- 青色申告・法人化の損益通算など、基本の武器を使う
ここは地味だけど、毎年積み上がるので効きます。
B.所得の形を変える(税率の“土俵”を変える)
同じ1,000万円でも、「給与」「事業」「配当」「譲渡」「家賃」で税の扱いが変わります。
富裕層は“稼ぎ方”より“受け取り方”を整えます。
C.居住地戦略(最強だが、難易度は高い)
居住者/非居住者の判定は生活の本拠で決まるので、移住は“気分”じゃなく設計が必要。
住まい、家族、資産、仕事の実態まで揃えて初めて強い節税になります。
D.オフショア法人は「実態+透明性」がセット
- 実体のある業務(誰が何をして、どこで意思決定してるか)
- 契約と請求の整合性(実際に提供した役務と一致)
- 税務申告・記帳・送金の説明可能性
CRSや調書、国外財産調書の流れの中で、曖昧さは致命傷になります。
8)よくある危険パターン(やらない方がいい)
ここはハッキリ書きます。富裕層は逆に避けます。
- 名義だけ借りる、実態のない役員/住所だけ置く
- 海外口座に入れて申告しない
- 送金の理由や契約が説明できない
- 日本の居住者のまま、低税率国の法人に利益を溜めて逃げ切れると思う
→今は制度的に詰みやすいです(CFCや情報交換)。
9)最後に:節税のゴールは「税金を減らす」じゃなく「詰まない人生」
税金を削ることより大事なのは、これ👇
- いつでも口座が使える
- どの国でも説明できる
- 家族に何かあっても資産が止まらない
- ルール変更が来ても逃げ道がある
だから富裕層は、節税を“単発テク”じゃなく「資産防衛の設計」としてやってます。
